2025年5月17日ロジャーニコルスが、6月9日にスライストーンが、そしてほかにも大好きだったミュージシャンが次々とこの世から旅立っていった。そしてついに、ああまだ信じたくないがブライアンウィルソンが6月11日に天国へ行ってしまった。陳腐すぎる言い方しかできないが彼は音楽をつくりだすためにこの世に降りてきた天使だった。ザ・ビーチボーイズの創始者であり音楽的支柱でもあったわけだが、この世界の不条理さに、この世界の残酷さに、この世界の絶え間ない緊張感にさらされ彼の精神は一度粉々に砕けてしまった。ブライアン不在のビーチボーイズも素敵なポップアルバムを作ったし、ブライアン不在のポップ・ロック・シーンもパンクやらディスコやらギラギラした80年代のバカ騒ぎやらあれやこれや、もはやブライアンの作り出すようなイノセントな楽曲に居場所はなさそうでもあった。
ところが88年になっていきなりオレたちのもとへブライアンのソロ・アルバムが届けられた。魔法がいっぱいかかった極上のポップアルバムが、、それから彼はコンスタントにアルバムを発表し、ライブ活動も精力的に行っていた。それはまるで奇蹟の連続を見せられているようだった。彼がこの世に降り立った理由、天使としての役割に目覚めたんじゃないかとオレには思えた。一度廃人みたいになった人間もまたこうやって立ち上がることができるんだって、世界に宣言しているかのようだった。
再び音楽に向き合えるようになったブライアンは本当に幸せそうだった。そんな彼を見てオレも幸せな気分になった。たくさんの人がそうなったはずだ。いくら言葉を費やしても彼への想いは言い尽くせないし、ただただ同じ時代を生きることができた幸運を感謝するだけだ。フォーエバー・ブライアン!!